食物繊維が鍵
寒天の健康と美容の機能を支えるのは、その成分の8割を占めるというアガロースやアガロペクチンと呼ばれる食物繊維です。体内で水分を吸って250倍にも膨れるので満腹感を得られることに加えて、含んだ水分とともにそのまま腸へと移動するので便秘解消にも効果的です。また、その動きがゆっくりであることから血糖値の上昇を抑えるという機能もあるのです。さらに天然寒天に多く含まれる食物繊維のアガロペクチンはコレステロール値の改善や、シワしみの予防改善にも効果があるといわれていて、天然寒天がスーパーフードと呼ばれる所以です。
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煮溶かすことで繊維が活躍
機能性の高さが実証されている寒天ですが、より効果的に摂取する方法はあるのでしょうか。まずはなんといっても、天寄せやゼリーをはじめ、一度煮溶かして用いる方法です。煮溶かすことによって食物繊維がほぐれ、身体のなかでより活躍しやすい状況になるのです。煮溶かす料理としてはゼリーなどが定番ですが、砂糖を使いすぎるとダイエットや血糖値の改善には本末転倒です。トマトやきゅうり、卵などを使ったサラダ仕立ての天寄せや、諏訪地域では豆腐を入れるのも定番です。寒天そのものに強い香りや味わいがあるわけではないので、和洋中、いずれの料理でもお使いいただけます。
戻った寒天
煮溶かしている鍋&木べらorゴムベラ
天寄せ
水で戻さず気軽に使う
天然寒天は水に30分ほど浸けて戻す手間があり、慣れないと敬遠する人も多いようですが、そんな方も安心、水に戻さずそのままちぎって米に混ぜて炊いたり、鍋やスープに加えることもできるのです。ごはんはもっちりとしてつやが出るので、古米や玄米を炊くときにもおすすめです。汁物の仕上げに入れれば春雨のようにつるりとした食感が味わえます。忙しくて食事の時間が取りづらいという人は、カップ麺にもお湯とともに投入! 手軽に食物繊維を取ることができておすすめです。寒天使いに慣れてきたら水で戻してサラダや炒め物の仕上げに加えてみましょう。また異なる食感が楽しめます。
つやつやごはんと味噌汁
この料理にも寒天!?的な料理
毎日2g、食べ続けることが大切
摂取量の目安は1日あたり2g。わずかのように感じますが角寒天でいえば1/4本ほどです。日頃すぐ手が届く場所に保管することも、使用頻度を高める鍵となります。わたしたちが拠点とする諏訪地域では、ホテルやレストランなどで、細かく切った角寒天や糸寒天が山盛りに置かれているのを目にします。そして、継続は力なり。毎日2gずつ食べ続けることで、総コレステロール・悪玉コレステロール・中性脂肪・血糖値が低下し、摂取終了とともに増加するという結果が得られたのです。毎日こつこつ寒天を食して、健康と美容を手に入れましょう。
2gの棒寒天、糸寒天、粉寒天
参考文献:
長野県寒天水産加工業協同組合『寒天ニュース』、松橋鐵治郎『寒天・ところてん読本』(農山漁村文化協会、2008)
調査実施者:
長野県寒天水産加工業協同組合
調査協力:
茅野市民60名、小口晋平医師(小口医院内科)、安藤親男(リバーサイドクリニック内科)、宮本真理夫(諏訪中央病院内科)
結果分析:
奥原正夫推教授(諏訪東京理科大学統計品質学)