
マツキの信念
豊かな海に育まれた海藻の恵みと人の知恵への感謝
受け継がれた文化と技術をたずさえて
天然寒天を未来につなげます
天然寒天という素晴らしい食材を、多くの人に届けたい
天然寒天はカロリーゼロで、その成分の80%近くが食物繊維からなります。なかでも海藻由来でコレステロール値などを改善するアガロペクチンが含まれることもわかり、近年では天然寒天が持つその類稀な「健康機能」にも注目が集まるようになっています。わたしたちの使命は、これほど素晴らしい自然の恵みを、ひとりでも多くのお客様に知っていただき、食卓へとお届けし、そして健康な暮らしの実現に寄与することです。わたしたちはその想いで寒天づくりに向き合っています。

諏訪地域だからできる天然「角」寒天
広く寒天に親しんでいただくために、わたしたちは天然の角寒天・糸寒天の製造販売のほか、粉末寒天や寒天雑炊、寒天サラダ、羊羹、トコロテンなどの加工品も販売しています。しかし、主軸はなんといっても自然凍結・自然乾燥でつくる諏訪地域ならではの天然角寒天です。かつて通年化を見据えて機械製造を試みたこともありましたが、その特有の厚みから凍結過程で縮んでしまい、美しくおいしい角寒天にはなりませんでした。以来、今も手仕事でつくり続けています。諏訪地域の風土があってこそできる天然角寒天はわたしたちの誇りであり、そのおいしさと美しい形状と使い勝手の良さは長年ご愛顧いただく皆様から高い評価を得ています。

赤石山脈の伏流水
諏訪地域に寒天産業が根づいた要因として、気候に加えて「水」の存在があげられます。わたしたちが用いるのは赤石山脈の伏流水を汲み上げた地下水です。諏訪地域のなかでも茅野市は水が豊富で、自然浄化されたまろやかな軟水が市内各所に湧いているほどです。海藻の浸水から洗浄に、その豊富な水を汲み上げ用いています。茅野市内の宅地化が進み寒天庭を隣の諏訪市に移転した際も、水車と呼ばれる洗い場だけは茅野市に残しました。水車、釜、そしてトコロテンを干す寒天庭が近接していれば作業も効率的ですが、それよりも鉄分が少なくカルシウムなどを豊富に含む美しい茅野の水が、おいしい寒天づくりには不可欠だったのです。

手仕事を支える機械仕事
これだけ水にこだわるように乾燥前のトコロテンはほぼ水分。昔、一度に20本を超えるトコロテンを担いで運ぶその肩には、重さで血が滲んだものです。今はエンジン付きの台車で運ぶようになりました。良質な天然角寒天には職人の手仕事が不可欠ですが、このように機械が補える部分は時代とともに変化しています。ほかにも薪釜から蒸気釜へと変えたことで、質量ともに安定させ環境負荷も減らすことができました。浸水・洗浄の機械も導入し効率化を図りました。既製品はなく、釜も洗い場もすべて特注のため無事稼働するまで心配は尽きません。しかし、その創意工夫こそが天然寒天を家内制手工業から一大産業にまで押し上げたのです。

上質な天然角寒天に必要不可欠な職人の技
機械化が進んでも、職人の技術が必要とされることに変わりはありません。たとえば、海藻からあますことなく十分ノリと呼ばれる粘質物を引き出し、かつ濾過しやすくするためには、海藻の配合や釜に投入する順番、蒸らしの時間などが鍵となります。天気や湿度が毎日変わるように、釜の湯の沸き方も同じ日はなく、それに応じた微調整が必要です。天日に干された寒天の様子を見ながら角度を変える振替の作業もしかり。一朝一夕ではなし得ない、先人の智恵と長年の経験によって培った、職人の技術で成り立っているのです。機械化で省力となった分、そうした手仕事に心血を注げるようになり、さらなる品質の向上につながっています。
【製造責任者:専務取締役 松木久茂(ひさしげ)】
