
自然条件に左右される天然角寒天づくりは
マニュアル通りには進みません。
空を眺め、風を読み、天気を予測し
海藻の溶け具合に細心の注意を払います。
すべては上質な寒天のために日々技術を磨いています。
自然と向き合う天然角寒天づくり
天然角寒天の原料は海藻と水といういたってシンプルなものですが、その製造は9つのもの工程があり、海藻が角寒天になるまでに要する日数は約20日。雪や雨の日は干していた角寒天を避難させたり、気温がマイナス5℃まで下がらない日は思うように凍らなかったりと、ときによっては20日以上かけることもあるのです。天然角寒天づくりはまさに自然と対峙する産業です。気象衛星が今ほどの精度ではなかった頃は、夜中に降り出した雪から寒天を守るために総出で作業したことも。北アルプスが近くに見えると天気が崩れる、長野県北部が雪予報なら諏訪地域は晴れなどということも、長年携わる職人の経験則が育んだ智恵なのです。

自然の力、先人の智恵、職人の技術
職人の技はブレンドや煮熟でも発揮されます。天草はノリと呼ばれる粘物質を多く抽出できますが濾過しづらいため、溶けにくくて濾過しやすいオゴノリを配合して調整します。煮熟が少なくても粘りが出ませんが、煮詰めすぎると逆に粘りが落ち、色も黒くなってしまいます。海藻の配合や釜の出し入れのタイミングには、長年の経験でしか培えない職人の技が生きています。完成したトコロテンを北向きに並べ3日かけて芯まで凍結させたら、南向きにして1~3日かけて融解させます。これを繰り返すことで次第に水分がなくなっていくのです。厳しい冷え込みと太陽の恵み、それを理解し技を編み出した先人たち。角寒天は自然の力と人の智恵が詰まった産物です。

原材料


原藻

製造工程

1.浸水
一昼夜、水に浸けてアクを抜き、柔らかくするとともに汚れを取る

2.洗浄
「水車」と呼ばれる洗い場で井戸水を掛け流し、約20分かけて洗う

3.ブレンド
「原藻の品種や産地の特性を見極め、使用用途に合わせて配合する

4.煮熟
「煮えにくい原藻から釜に入れ、約1.5時間煮た後、約8時間蒸らす

5.濾過
重石をして地下のタンクに濾す

6.凝固
諸蓋と呼ばれる箱に流し込み3時間固めてトコロテンをつくる

7.天切り
22本ないしは21本に切る

8.天出し
寒天庭に並べ、約15日間かけて凍結と融解を繰り返し、完全に乾燥させる

9.簀取り
簀(す)と呼ばれるかごに移して野外の棚で約5日間、最終乾燥させる

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