
もともと食物繊維が豊富というイメージがある寒天ですが
とくに天然寒天である角寒天や糸寒天は
整腸作用によりさらなる健康を促します。
健康の基本、食物繊維がたっぷり
健康の基本は食物繊維といって過言でないほど、食物繊維が人の身体にもたらす影響は大きいものです。そのなかでも寒天の80%を占める水溶性食物繊維は、腸内をゆっくりと移動するのでお腹をすきづらくさせて摂取カロリーを抑え肥満を予防するとともに、糖質の吸収を緩やかにするので食後の急激な血糖値の上昇を抑えて糖尿病を予防します。さらには腸内環境も整えて、便秘解消や大腸がんをはじめとした腸疾患の予防にもなるのです。そのほか骨粗鬆症、夏バテ、動脈硬化、高血圧などについても予防と改善の効果があるとされています。そもそも、寒天自体はカロリーゼロ。ダイエットに、体調管理に、これほど有能な食品はありません。
寒天摂取による体重減少の変化

寒天摂取による1〜2ヶ月の血糖値平均(HbA1c)低下の変化

寒天摂取による善玉コレステロール(HDL)増加の変化

寒天摂取による悪玉コレステロール(LDL)減少の変化

コレステロール値を下げるアガロペクチン
さらに近年注目されているのが、天然寒天が含む水溶性食物繊維の「アガロペクチン」です。天然寒天は水溶性食物繊維の「アガロース」と「アガロペクチン」からなりますが、とくにアガロペクチンはコレステロール値の低下作用を持つことが明らかにされたのです。つまり天然寒天は、肥満、高血糖、高血圧、高コレステロールといった生活習慣病に対して、非常に高い効果が期待されるのです。天然寒天が「スーパーフード」と呼ばれ熱い注目を浴びているのは、このアガロペクチンがあってこそなのです。

アガロペクチンはシワしみ対策にも
アガロペクチンに期待される効果は健康だけではありません。紫外線によるコラーゲンの破壊を予防する作用も明らかになったのです。コラーゲンとはタンパク質の一種で、肌にハリや弾力を与える役割を担う身体の組織として今やおなじみです。年齢や喫煙によりダメージを受けるといわれていて、なかでも紫外線によるダメージがもっとも大きいとされていますが、アガロペクチンは紫外線によるコラーゲンの破壊を抑え、しわ・たるみを予防するとも言われています。食物繊維で腸内環境を改善できることも美肌につながります。天然寒天は健康だけでなく、美しさも支えてくれる食品なのです。

食の志向の変化で高まる寒天需要
固める食材としてはゼラチンも広く普及しています。ゼラチンと寒天、その口当たりや性質にも違いはありますが、最も大きな違いは寒天が植物由来の原料からできているのに対して、ゼラチンが牛や豚の骨や皮などに含まれるコラーゲンを熱分解した動物由来の原料からできていることです。こうした原料の違いに着目して、海外を中心に食物アレルギー患者やヴィーガン・ベジタリアンといった菜食主義の方から、とくに天然寒天の需要が高まっています。また、宗教による食の制限のある方からのご要望も増えていて、今後、天然寒天のさらなる需要増が見込まれています。

参考文献:長野県寒天水産加工業協同組合『寒天ニュース』、松橋鐵治郎『寒天・ところてん読本』(農山漁村文化協会、2008)
調査実施者:長野県寒天水産加工業協同組合
調査協力:茅野市民60名、小口晋平医師(小口医院内科)、安藤親男(リバーサイドクリニック内科)、宮本真理夫(諏訪中央病院内科) 結果分析:奥原正夫推教授(諏訪東京理科大学統計品質学)

諏訪地域と寒天産業
昼夜の気温差、晴天率の高さ、降雪の少なさ、湿度の低さそしてミネラルを豊富に含む伏流水。諏訪地域の気候風土のどれが欠けても寒天づくりがこの地に根付くことはありませんでした。天然角寒天は、諏訪地域の風土を映し込んだの宝物なのです。
記事を読む
天然角寒天ができるまで
自然条件に左右される天然角寒天づくりはマニュアル通りには進みません。空を眺め、風を読み、天気を予測し海藻の溶け具合に細心の注意を払います。すべては上質な寒天のために日々技術を磨いています。
記事を読む
寒天の種類
寒天には、「原料」「製法」「形状」の違いから「角寒天」「糸寒天」「粉末寒天」の3種類があります。それぞれに特徴や使い道に違いがあり健康に寄与する機能性も異なります。違いを知って暮らしに合った寒天生活をお楽しみください。
記事を読む