諏訪地域と寒天
SUWA AREA AND AGAR INDUSTRY

寒天づくりに最適な諏訪地域
 

昼夜の気温差、晴天率の高さ、降雪の少なさ、湿度の低さ
そしてミネラルを豊富に含む伏流水。
諏訪地域の気候風土のどれが欠けても
寒天づくりがこの地に根付くことはありませんでした。
天然角寒天は、諏訪地域の風土を映し込んだ宝物なのです。

諏訪地域の気候風土と寒天

諏訪地域に広がる水田は、冬には天然角寒天をつくる「寒天庭」へと姿を変えます。現在の寒天が諏訪地域に伝わったのは江戸時代、1830(天保元)年頃のこと。穴山村(現茅野市玉川)の小林粂左衛門がその製法を京都から持ち帰り、冬の農家の副業として広まりました。2℃からマイナス15℃にまで変化する諏訪の昼夜の気温差は、凍結と融解を繰り返して乾燥してできあがる天然寒天にとって最適な環境だったのです。雪や雨も大敵。屈指の晴天率もまた、諏訪地域に寒天を根付かせた要因のひとつです。わずかな積雪が寒さゆえに溶けづらく、土を覆うことや、さほど強風が吹かないことも砂塵の付着を防ぐことにひと役買っています。

信州諏訪の気候を活かした天然寒天づくり

国内唯一の角寒天産地

天然寒天には大きく角寒天と糸寒天がありますが、諏訪地域は国内唯一の角寒天の産地です。糸寒天よりも格段に太い角寒天を芯まで凍らせるには、昼夜の寒暖差などの条件が揃う必要があるためです。海のない諏訪地方で、かつては舟運や馬運で海藻を運んでまで角寒天をつくったのには、そうした背景がありました。最盛期の1940(昭和15)年頃、「天屋」と呼ばれる角寒天製造事業者は約200社あり、冬、高台から諏訪地域を眺めると一面の寒天庭が広がっていました。現在はわずか9社となりましたが、それでも角寒天の生産量は諏訪地域が全国一。近年では植物由来の原料とその健康機能が注目され、海外からの需要も急速に高まっています。

諏訪地域は国内唯一の角寒天産地

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